こんにちは。家づくりアドバイザーの森島です。
先日、尾道市でお打合せをさせていただいたお客様から、こんなご質問をいただきました。
「屋根の軒は、あった方が良いんですか?それとも、なくても大丈夫なんですか?」
これは家づくりを考えるうえで、とても大切なご質問です。

最近は、箱型でスッキリしたデザインの家も人気がありますよね。
軒を出さないことで、シンプルでスタイリッシュな外観になります。
一方で、昔ながらの日本の家には、しっかりと軒があるものが多く見られます。
では、実際のところ軒は必要なのでしょうか?
結論からお伝えすると、軒は「あった方が家を守りやすい」です。
ただし、軒がない家が絶対にダメというわけではありません。
大切なのは、軒がある場合・ない場合のメリットと注意点を知ったうえで、自分たちの暮らし方や建てる場所に合った選択をすることです。
目次
1. そもそも「軒」ってどこのこと?
まず、「軒」とは何かを簡単に説明します。
軒とは、屋根が外壁よりも外側に出ている部分のことです。

家の外から見ると、屋根が少しひさしのように出ているところですね。
この軒は、ただのデザインではありません。
実は、雨や日差しから家を守るために、とても大切な役割をしています。
たとえば、雨が降ったときに軒があると、雨水が直接外壁に当たりにくくなります。
窓まわりにも雨がかかりにくくなるので、外壁やサッシまわりの負担を減らすことにつながります。
また、夏の強い日差しをやわらげる役割もあります。
特に南側の窓に軒があると、夏の高い位置からの日差しをほどよく遮ってくれます。
反対に、冬は太陽の位置が低くなるので、室内に日差しを取り込みやすくなります。
つまり軒は、昔の家によくある「なんとなくの形」ではなく、日本の気候に合った、理にかなった工夫なんです。
2. 軒がある家のメリット
軒がある家の一番大きなメリットは、やはり「家が傷みにくくなる」ということです。
家は、毎日外の環境にさらされています。
雨、風、紫外線、湿気、暑さ、寒さ。こうしたものが少しずつ外壁や窓まわりに影響を与えていきます。
特に雨水は、家にとって注意したい存在です。
外壁に雨が直接当たり続けると、汚れがつきやすくなったり、塗装の劣化が早まったりすることがあります。
さらに、窓のまわりや外壁のつなぎ目などは、施工がきちんとされていても、長い年月の中では負担がかかりやすい部分です。
軒があることで、そうした部分に雨が当たる量を減らすことができます。
これは、家の長持ちにもつながりますし、将来的なメンテナンス費用を抑えることにもつながります。
また、軒は暮らしやすさにも関係します。
たとえば、雨の日に窓を少し開けたいとき。
軒があると、多少の雨なら室内に吹き込みにくくなります。
玄関まわりに軒があれば、傘を開いたり閉じたりするときにも少し安心です。
そして、夏の日差し対策にも効果があります。最近の夏は本当に暑いですよね。
窓から入る日差しは、室内の温度を上げる大きな原因になります。
軒があることで、日射をコントロールしやすくなり、冷房の効きにも良い影響が期待できます。
見た目だけではなく、家を守る、暮らしを守る。そこが軒の大きな魅力です。
3. 軒がない家はダメなの?
では、軒がない家はダメなのかというと、決してそうではありません。
最近は、軒を出さないスッキリしたデザインの家もたくさんあります。
四角い外観で、シンプルでかっこいい印象になりますし、敷地条件によっては軒を大きく出しにくい場合もあります。
ただし、軒がない家にする場合は、外壁や窓まわり、屋根まわりの防水計画をより丁寧に考える必要があります。
軒がないということは、雨や紫外線が外壁に当たりやすくなるということです。
そのため、外壁材の選び方、防水シートの施工、サッシまわりの処理、雨どいの計画などがとても大切になります。
また、外壁の汚れも出やすくなる場合があります。
特に白っぽい外壁や凹凸のある外壁は、雨だれや汚れが目立ちやすいことがあります。
もちろん、外壁材の性能やメンテナンスの仕方によって変わりますが、
「軒なしの家は見た目がスッキリする分、外壁にかかる負担は増えやすい」と考えておくとよいです。
つまり、軒がない家を選ぶなら、「デザインが好きだから」だけで決めるのではなく、
雨仕舞い、防水、外壁の耐久性、メンテナンスまでセットで考えることが大切です。
軒がない家でも、きちんと設計・施工されていれば安心して暮らすことはできます。
ただ、軒がある家に比べると、より細かな配慮が必要になるということですね。
4. 家づくりで大切なのはデザインと性能のバランス
家づくりでは、見た目のデザインもとても大切です。
毎日帰ってくる家ですから、
「この外観が好き」「こんな雰囲気の家に住みたい」という気持ちは大事にしていただきたいと思います。
ただ、家は建てて終わりではありません。10年、20年、30年と暮らしていく場所です。
だからこそ、見た目だけではなく、雨に強いか、日差しをコントロールできるか、
メンテナンスしやすいかという視点も欠かせません。
尾道市のように、海に近い地域や坂の多い地域では、日差しや風、雨の当たり方も敷地によって違います。
隣の家との距離、道路の向き、窓の位置、周辺環境によっても、軒の必要性や出し方は変わります。
ですので、「軒は絶対に必要です」「軒はなくても問題ありません」と一言で決めるのではなく、
その土地、その家族、その暮らし方に合わせて考えることが大切です。
個人的には、家を長くきれいに保ちたい方、メンテナンスの負担を少しでも減らしたい方、夏の日差しを上手にコントロールしたい方には、軒のある設計をおすすめすることが多いです。
一方で、シンプルでモダンな外観を大切にしたい方や、敷地の条件で軒を出しにくい方には、軒を出さない設計でも安心して暮らせるように、防水や外壁選びをしっかり考えてご提案します。
大切なのは、「軒がある・ない」だけで判断するのではなく、その選択によって何が変わるのかを知っておくことです。
家づくりは、デザインと性能のバランスがとても大切です。
見た目が好きで、暮らしやすくて、将来のメンテナンスにも納得できる。そんな家を一緒につくっていきたいですね。
屋根の軒について気になる方は、ぜひ打合せの中でお気軽にご相談ください。
土地の条件やご希望のデザインに合わせて、わかりやすくご提案させていただきます。